どうも、じゃんがりーです。
映画「ビブリア古書堂の事件手帖」を観てきました!
なので覚え書きとしてここに感想を書いてみます。
誰が犯人とか真相とかは書きませんが、原作と映画を合わせて観た上でのレビューなので、
ネタバレに敏感な方はここより先はご遠慮いただいた方がいいですね。
ネタバレを気にしない方、原作は読んだから口コミくらいは知りたい、という方はこのままお付き合いください。
原作について
映画レビューの前に、まずは原作について触れておきましょうか。
原作は三上延氏による『ビブリア古書堂の事件手帖~栞子さんと奇妙な客人たち~』(メディアワークス文庫)です。
本屋さんによく行く人なら、この表紙見たことがあるんじゃないでしょうか?
ビブリア本編シリーズは全7冊、すでに完結しています。
本編シリーズは上記以降、数字がついてサブタイトルがストーリーの展開によって変化していきます。
参考までに並べて書いておきましょう。
『ビブリア古書堂の事件手帖~栞子さんと奇妙な客人たち~』
『ビブリア古書堂の事件手帖2~栞子さんと謎めく日常~』
『ビブリア古書堂の事件手帖3~栞子さんと消えない絆~』
『ビブリア古書堂の事件手帖4~栞子さんと二つの顔~』
『ビブリア古書堂の事件手帖5~栞子さんと繋がりの時~』
『ビブリア古書堂の事件手帖6~栞子さんと巡るさだめ~』
『ビブリア古書堂の事件手帖7~栞子さんと果てない舞台~』
7作目のあとがきで作者の三上氏は、
「本編として完結するというのは間違いないんですよ。(中略)どこまで行けるかは分からないんですが、番外編やスピンオフという形で『ビブリア』はまだ続きます。」
とおっしゃっていますので、「複数冊シリーズものは一気に読みたい派」もここまでの区切りなら手に取りやすいんじゃないでしょうかね。
ま、その「シリーズ続編」ってのもこれを書いている時点ですでに
『ビブリア古書堂の事件手帖~扉子と不思議な客人たち~』というのが1冊出てるんですけども(笑)
はい。少し長くなってしまいましたが、
今回実写映画化されたのはこのビブリア本編シリーズ1冊目に収録されている、
第一話と第四話の内容です。
映画のあらすじ
次にとても簡単に映画のあらすじをば。
鎌倉にある古本屋「ビブリア古書堂」を経営している篠川栞子は普段は人見知りの女性。
しかし本のことになると途端に饒舌になります。
特筆すべきは本に関する深い知識や情熱もさることながら、本に秘められた秘密をいとも簡単に解き明かしてしまうこと。
彼女がいる「ビブリア古書堂」に主人公の青年・五浦大輔が祖母の遺品である本を彼女の店に持っていくことから物語が始まります。
大輔が持って行った本に隠された祖母の過去。
そして栞子の身に起きた事件の犯人を2人は追っていきます。
原作との違い
もはや実写化映画のレビューのメインは原作との違いと言っても過言ではないかと(笑)
今回ももちろん大筋は原作と変わってないんですが、設定の違うところは多々あります。
割合でいうと原作通り6割、ちょい違うのが4割ってところでしょうかね。
そんなわけで、オイラが特に気になった点をピックアップしてみますよー。
- 栞子と大輔の出会いのシーン
原作では病院、映画ではビブリア古書堂です。
ここを変えたのは単純に病室のパジャマ姿より「ビブリア店内の方が見栄えが良いから」じゃないでしょうか(笑)
栞子さんがケガするタイミングもこれのためにずらした感じがあります。
まあ、最初の掴みの印象的なシーンですからね。
古書をテーマにした作品の映画ですから、まぁ納得出来ます。
- 大輔と母の身長
原作で2人は高身長だと描かれていますが、映画では特にそのような描写は(思い出せる限りでは)ありませんでした。
これはね…オイラとしてはあった方がいいと思います。
原作にあった「頭ぶつけてもいいように鴨居に打ち付けたゴム板」の件とか、物語の確信とまでは言えなくても大切な伏線要素ですからね。
それがあれば劇中で田中嘉雄が頭をぶつけてるシーンも伏線回収の役割として、とても意味あるシーンになるのですから。
この点はなんだかもったいない気がします。
- 登場人物の役割
「もうすぐ目が見えなくなる」人物が両方で出てきます。
原作ではある事件の当事者「坂口氏」として本編1冊目第3話に登場します。
映画ではちょい役で、しかも「視力のことは偽装(実は見える)」として出てきます。
この二人は同じ人物として登場しているかというと…自筆の伝票が映ったシーンの記憶が曖昧なので断言はできませんが、違う人物として描いていたような気がします。
ところが「書く文字の特徴から視力のことを推理する」というネタが酷似。
同じネタを使うはずもないので、今後また「ビブリア古書堂の事件手帖」が再び映画化されるとしても、「坂口氏」の事件は取り扱われないでしょうね。
将来の可能性を狭めるという意味でも「ここでこのネタ使ちゃうのね…」という感じです。
- 主要人物の名前とクライマックス
名前に関しては単純に「なぜ変えた?」と(笑)
原作を読んだけど映画を観ていない人と、原作を読んでいないけど映画は見た人。
両者が話し合ったとき齟齬が生じるのではないかと(そんな状況があるかは分からないけど)。
ただ原作では大輔がこの人物の名前に関しての謎解きをしますからね。
段階を踏んで解いていく工程を省く意味もあったかもしれませんし、キャスト的に大輔が謎解きをすることで聡明に見えるシーンは作りたくなかったのかもしれません。
その結果、映画のクライマックスシーンで大輔は原作のように頭を使ってではなく、身体を使うことになったんでしょうね。
仕方ないような、やっぱり「なぜ?」と思うような…(笑)
…細かく挙げればもっとありますが、大きな相違点はこんなところでしょうか。
わりと「変えない方が…」っていうのも多くはありますが、時間内に収めるには必要だったのかもしれません。
キャストについて
- 黒木華
本の表紙のイラストにイメージを引っ張られてる人も多いと思うので、そこに忠実に行くなら「栞子は宮崎あおいとかじゃない?」と思うかもしれません。
イラストを重視するならオイラもそう思います。
でもビブリアを読み始めた当初、オイラが文章に集中している時に脳内で動いていた栞子さんは黒木華っぽかったですね。
今回の映画、まさにオイラの頭の中の実写だったかも。
栞子さんに関しては、ね。
なので
「黒木華、似合うわー。古本とか古い建物とか似合うわー。栞子さんだわー。シャイな部分と喋りすぎちゃう部分とかの差が可愛いわー。」
と思って観てました。
まぁ、もともと黒木華が好きだったから観に行ったようなもんです←
- 野村周平
映画を観る前にキャストだけ見たら、野村周平と東出昌大は逆じゃない?とも思いました。
「大輔は背が高い」というイメージが強かったのでね。
原作の設定より背が低いし華奢だけど、少々ポヤンとしたファンシーな大輔になっていて、
それはそれで面白かったのでオイラ的にはアリです。
「大輔じゃない!」と言う人も多そうですが。
あとあの田中嘉雄という人物の雰囲気は野村周平では出ないと思う←
ちなみにオイラの当初のイメージの大輔は最近の俳優さんなら、工藤阿須加くんが一番近いかなと。
- 東出昌大
「田中嘉雄は背が高い」という原作通りの設定的にも、聡明な雰囲気を出せるという意味でも東出くんで大正解でした。
特筆すべきことが逆にないくらいピッタリだと思います(笑)
- 夏帆
大輔いわく「ヤングばあちゃん」。
とても可愛い←
原作は大輔目線で描かれていて若いばあちゃんの描写はないので、見た目的にどうこう言えないですが、東出くん演じる田中氏が惚れるくらいですからこれくらい可愛くないとね。
- 成田凌
ただただイケメンなぁと。
本性の部分、原作ではもうちょい嫌味なイメージだったけど、
成田凌がイケメンすぎて嫌味というより狂気って感じになってましたね。
これが役者の為せる技ってヤツか、と。
- 桃果
結構いい味出してるのが妹の文香ちゃん役。
「恋は雨上がりのように」にも出ていたようですが、オイラはお初にお目にかかりました。
原作イメージより少し幼い感じはしますが、栞子さんとの対比もあって馴染んでると思います。
原作では「五浦さん」と呼んでるのに、映画では呼び捨てにしているあたりはより一層文香ちゃんっぽくてGoodです。
その他・雑感
あとは感じたことをチマっと。
- 考えてみると、大物というか大御所役者さんは出てないですね。
古書をめぐる“若者たち”って感じ。
シリーズが進めばもっと年配の登場人物も増えるんですが、
この映画ではほぼレギュラー陣しか出ておらず必要最低限に絞られてるので、
ストーリーに集中して観られると思います。
逆に、観に来ていたお客さんたちは8割が50代以上って感じだったな。
古書がテーマだからそうなるのかな。
そういえば実写ホームズの映画の時も、若者より年配の方のほうが圧倒的に多かった。
キャストの年齢層と客層のミスマッチ…年配の方の感想も聞いてみたいですね。
- 嵐のニノが主演だった「青の炎」も鎌倉が舞台だったけど、
鎌倉に住む若い兄ちゃんはロードレーサー的なタイヤ細い自転車に乗りがちなんでしょうか?
原作ではスクーターだったのに、今回の大輔もなぜか自転車だったので。
- 主題歌がサザン!豪華!
でもあの桑田さんのあの声ではないのよね、奥さんの原坊がメインボーカルです。
なのですごく作品の柔らかい陽だまりのような雰囲気と舞台の鎌倉のイメージにとても合ってます。
- 出演者紹介とスタッフロールの時の背景がとてもお洒落で好き。
古い本の表装って感じよね。
スタッフロールなんて一般人にとってみれば普通でいいのに、
そういうムダに遊び心がある感じ、好きです。
総評
原作にこだわりがある方は「う~ん…」ってなる方もいるかもしれません。
あとはキャストの好みで判断して下さい(笑)
逆に。
原作にこだわらない方・原作を知らない方、
もっと言えば、「内容は気になるけど(大輔のように)活字の本が苦手…」という方にこそオススメです。
「古書とかミステリーだから難しいところもあるのかな」とかいう気持ちもあるかもしれませんが、
そういう気持ちは作品の中で、大輔が栞子さんに質問して解消してくれます。
ストーリーもとっつきやすく観やすい映画になってますので、
気になる方はぜひ観てみて下さい。
それではオイラの映画レビューおしまい!
ほなまた。